温泉→ビールと堪能した後は再びトラム(市電)に乗って大街道駅まで移動しました。次の目的地は松山城山のふもとに建つ洋館、萬翠荘(ばんすいそう)です。
萬翠荘とは
1922年(大正11年)に旧松山藩主家の伯爵久松定謨(ひさまつ さだこと)が別邸として建てた洋館です。当時は社交の場として各界の名士が集い、皇太子時代の昭和天皇も滞在されたそうです。
アクセス
- JR松山駅から伊予鉄道道後温泉行き 大街道下車
- 松山空港からリムジンバス道後温泉駅前行き 大街道下車
- 松山観光港からリムジンバス道後温泉駅前行き 大街道下車
大街道駅からは歩いて5分くらいですが、途中から上り坂になりますので要注意。
ボランティアガイドに遭遇
大街道駅から萬翠荘まで行く途中、右側に坂の上の雲ミュージアムがあります。ミュージアムの入口付近でひとりの女性に声をかけられました。
謎の女性 「こんにちは!」
べあとりす「(???)…こんにちは。」
謎の女性 「萬翠荘に行かれるんですか?」
べあとりす「…はい。」
謎の女性 「もしよろしかったらご案内しましょうか?
私は松山観光のボランティアガイドをしています。」
善意の申し出だとは判っているのですが、自分のペースを乱されたくない私としては悩みどころです。「いいえ、結構です。」と喉まで出かかったのですが、彼女があんまりニコニコしているのでむげに断るのも気がひけました。そこでこちらの希望を言ってみることにしました。
べあとりす「ここで1時間くらいしか時間が取れないけれどそれでもいいですか?
あと写真を撮りたいので好き勝手に立ち止まると思いますが。」
謎の女性 「もちろん、大丈夫です。ご都合に合わせてガイドしますよ。」
という訳で交渉成立です。まったくのなりゆきでガイドの上松さんにお世話になることにしました。
いざ萬翠荘へ
坂を上りきるとフランス風の素敵な洋館が姿を現しました。フランスでの生活が長かった久松定謨の好みなのでしょう。
車寄せ付きの玄関。完全に洋館の造りなんですが、
玄関脇のこの風窓(床下換気口)。ガラリに久松家の星梅鉢紋(ほしうめばちもん)が付いてます。これがなんとも和風な感じ。写真を撮っている私に向かって上松さんが
「そうなんです、久松家の紋が付いているんですよ。」
と声を掛けます。
ガラスに重ねた細工の見事なこと。デザインはもちろん欄間と対になっています。
「こちらが晩餐の間です。大理石のマントルピースの鏡はベルギー製なんですよ。」
「へー、贅沢ですね。」
「各お部屋に色違いの大理石でできたマントルピースがあります。」
洋風にアレンジされた格天井。
「踊り場の窓のステンドグラスは少し珍しいデザインでしょう?」
「そうですね、青のグラデーションがきれいです。」
久松定謨の肖像画。
「こちらは昭和天皇が摂政宮時代(皇太子)に滞在されたお部屋です。」
なるほど。壁の肖像画は左側が皇太子時代、右側は天皇に即位してからのものですね。
水晶でできた瀟酒なシャンデリア。
色違いのマントルピース、確かにありました。 鏡もマントルピースも部屋ごとにデザインを違えてさりげなく贅沢さをアピールしています。
上松さんは「この後愛媛県庁も案内できますよ。」と言ってくれたのですが、時間的に厳しいと思ったのでお断りしました。
感想
ひとりでなかったためやはり思うように写真が撮れませんでしたが、まじめな上松さんのガイドぶりには好感が持てました。いろいろお話してくれたのに、半分くらい忘れてしまってごめんなさい(^^; これからもがんばって下さいね。
現在の萬翠荘は部屋単位で借りることができるイベントスペースとして利用されていて、句会や個展・コンサートなどの催事がおこなわれるそうです。この日は水墨画が展示されていました。そのために展示物のある部屋は細部までちゃんと観ることができず、それがちょっと残念でした。
インフォメーション
【営業時間】 9:00 - 17:00 月曜休館
【見学料金】 300円
【公式サイト】 国の重要文化財 萬翠荘(ばんすいそう)公式ホームページ