バルセロナ1番のメイン・ストリートであるランブラス通りを南に下り、リセウ劇場の少し先を右に曲がってすぐのところにグエル邸があります。ガウディの初期の最高傑作にして世界遺産に指定されているこの建物は、ガウディのパトロンだったエウセビ・グエルの邸宅です。
この日最後の観光スポットであるこの場所に到着したのは14:00少し前。しかし私は15:00からの見学を予約していました。…まだ1時間もあるよ(-。-;
強行突破?!
そもそもこの日のスケジュールは、
09:00 サグラダ・ファミリア
↓
11:30 サン・パウ病院
↓
13:30 ランチ
↓
15:00 グエル邸
のはずでした。
しかし雨でサグラダ・ファミリアの生誕の塔に登れなかったツケが回って、1時間以上予定が繰り上がってしまったわけです。
近くにあるサン・ジュゼップ市場に行ってみようにもこの日は祝日なのでお休み。どうにも時間を持て余した私はラテンの国のいいかげんさおおらかさに賭けることにしました。
つまり係員のお姉さんに何食わぬ顔でバウチャーを見せて中へ入ったのです。 仮に見咎められたら1時間勘違いしたと言えばいいだけなので大したリスクはありません。結果、問題なく中に入ることができました。
地下厩舎
まず最初はこの扉の向こう、地下厩舎へ向かいます。
この建物が建てられた当時は自動車などはまだなく、自家用車ならぬ自家用馬車。馬車はこの地下駐車場で待機していました。
正面階段から内部へ
地下厩舎の次は住居部分へ。
もうね、このゴージャスな階段だけで圧倒されます。
階段を登りさらに上の階へ。大理石をふんだんに使ったクラッシックな内装。そうかと思えば梁や天井には鋼鉄を使ったモダンなデザインです。奇抜なところはなくても様々な素材を躊躇なく使っているのがいかにもガウディらしい。
階段の吹き抜け部分の天井の仕上げは木材です。日本建築の格天井にも似ていますが、さらに奥行きのある緻密なデザイン。
狭い開口部にはステンドグラスをあしらい、こぼれてくる光の変化が楽しめます、ランプも素敵。
これもまた緻密なデザインです。
異素材の組み合わせが本当に素晴らしい。
サロン
2階から4階まで吹き抜けになっているサロン。こちらは多目的ホールとして使用されていたそうです。
まるで大聖堂のようなドーム天井から光が差し込みます。
金色の小さな礼拝堂がしつらえてあります。
食堂
ダイニングスペース。
応接間
寄木のフロア。ボーダーや欄間、扉の枠材などクラッシックな感じが漂います。
ピアノがありました。
グエル夫人の寝室
水平回転式のブラインド。
柱の装飾も見事。
ラリックばりの美しいガラス。
書斎
書斎。
トイレ
贅沢な便器のあるトイレ。壁のタイルもすごい。
屋上に出ると…
屋上に上がると後のガウディらしさが垣間見えます。
「トレンカディス」(粉砕タイルのモザイク)や、樹木のようなキノコのようなオブジェ。
尖塔
コウモリの付いたこのトンガった塔もガウディらしい。
やっぱりガウディだなぁ、と思いました。
ガウディの胸像
こんな風貌をしていたんですね。
感想
カサ・バトリョ、カサ・ミラはどらもめちゃめちゃ混雑していたので、とてもじっくり観るという雰囲気ではなくざーっと流しただけでした。でもこちらは前述の2つに比べると圧倒的に空いています。ゆっくりじっくり観ることができました。
ガウディ独特の奇抜さは屋上に垣間見える程度なので、観る人によっては地味に感じるかもしれません。
まああのピカソだって初めからあのような画風だった訳ではなく、15歳で描いた「科学と慈愛」はごく当たり前の絵画でしたしね。ガウディも然り。
個人的にはこれまでバルセロナで観た彼の建築の中ではここが1番気に入りました。とにかく異素材を組み合わせた美しい内装は必見です。